今日もエンターテイナーに生かされている

流行にはワンテンポ遅れて乗るタイプ

ドキュメンタリーが苦手です

ドキュメンタリーがとても苦手です。
ドキュメンタリーはその人のリアルや素顔を垣間見ることができるため、特にその人のファンは見たい映像だと思います。ですが私はあまり見たくないのです。

その人の見せたくない素顔を見てしまうことへの罪悪感に襲われてしまうから。それに私は人が負の感情を向ける瞬間に異常なほど嫌悪感を抱いてしまうので、これもドキュメンタリーが苦手な要因のひとつです。

これらの私の気質はHSPという単語ひとつで片付きます。「人より繊細」という表現がどうも引っかかるのであまり好きではない単語なのですが、事実なので書いておきます。

 

そんな私が『No Pain, No Gain』という山田孝之さんのドキュメンタリーを見てしまいました。
見るかどうかすごくすごく悩みました。孝之さんのファンになったのはお芝居を見てであって、まだ思考や行動、人間の本質的な部分までファンになれているとは思えていなかったからです。これを見たからと言って孝之さんのことを避けてしまうことは絶対に無いことは確信していましたが、その逆にもっと好きになることも無さそうだとも確信していました。
アマプラで配信されていたのですが、見るかどうか悩んでいる間に気づけばプライム限定配信が終了していて、「あぁ、これには縁が無かったってことなんだろうな」と言い聞かせていたのに。孝之さんの出演作をFODで漁っていたときに、ここでまた配信されているのに出会って、これまた悩みましたがここまできたのだから、と衝動的に再生させてしまいました。

「#1」を見て、このドキュメンタリーは出演陣とスタッフの関係性が良好なんだろうなということを感じ、あまり負の感情が出てこなさそうだと判断できたので、「#2」以降も見ることに決めました。

FODは無料トライアルで解約するつもりだったのでリミットは2週間。
ここで見たかった作品は『荒川アンダーザブリッジ』と『WATER BOYS』、そして『No Pain, No Gain』の3本。
荒川アンダーザブリッジ』と『WATER BOYS』に必死でドキュメンタリーは「#1」以降なかなか見進めていませんでした。本能的に避けていたのもあるのかもしれません。気づけばトライアル期間が残り2日になっていたのです。

仕方がない。一気に見てしまおう。

この判断が非常に良くなかった。先に言っておきますが、このドキュメンタリーはとても上質で丁寧に描かれていて嘘の無い作品です。だからこそ、私にはその描かれる日々を見るのがとても辛く感じました。

登場人物と自分自身との間に感情の境界線がうまく引けない私、自分自身を追い込み続けなんでもやってやろうの精神で挑んでいく孝之さんの姿を見て、私も気づけば私自身を追い込んでいました。画面を見つめる姿勢が前のめりになって、眉間にシワが寄って、喉がカラッカラになってきてハッとしました。画面の中の世界と自分の心とを繋いでしまっていた紐をスパっと切るイメージを頭に植え付けて、深呼吸をしながら見進めることが私には必要でした。

1日1ストーリーにしていればそんなに追い詰めることも無かったでしょうが、何せ時間が無かったものですから、「#3」〜「#9」までを夜中に4時間ぶっ通しで見てしまいました。次の日も出勤だったのに。うまく消化しきれていないうちに布団に入り、そのまま浅い眠りで朝を迎え、眠った気にならずに仕事へ向かいました。
職場に着いて作業のようなルーティーンワークをこなしながら、「私は何を目的に生きているんだろうな」という考えが頭を支配するようになりました。
良くない良くない。私は立派に働いているではないか。毎日遅刻せずに会社へ行き、文句も言わず1日中パソコンの前に座り、お客さんからの電話をさばき続け、家に帰ったら家事をこなし、そんな規則正しい生活を送っているではないか。
このドキュメンタリーをもっと他人事として見ればよかった。住んでいる世界や置かれている環境がこんなに違い過ぎるのだから、自分の生活と比べても虚しくなるだけ。私はメディア作品に関してはどうしたって「作る側」ではなく「見る側」の人間。そこの境界線をはっきりと引いていれば、もっと作品として楽しめたかもしれない。そう、私はこの作品を楽しく見たかったのです。でも私の性質がそれを許してくれませんでした。作品を楽しめなかったのは完全に私の落ち度なのです。

 

言い聞かせのような記事になりましたが、どこかに吐き出しておかないと自己嫌悪に陥りそうだったので書くことにしました。
短期間で孝之さんの過去作をザッと見た私には、年表のように作品の年代をはっきりと覚えていたので、「こんな時に撮影していたのか」という見方ができたことは面白かったです。

 


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人ってこんなに濃い5年を過ごせるんですね…。
やりたいことを「やりたい」と言えるのが羨ましいっていうのが、本音です。